古陶磁鑑定美術館の新着ニュース、お知らせ配信

古備前鑑定の古陶磁鑑定美術館は、研究論文「古備前焼の年代鑑定」を出版しました。

古備前焼の鑑定のコツ④【保存状態】を見る。古備前焼や骨董品の傷や直しなどの状態は鑑定や査定にどう影響するのか?古備前鑑定の古陶磁鑑定美術館が解説!

【note転載】古備前鑑定の専門研究美術館「古陶磁鑑定美術館」です(写真:出版書)。

表紙(フチなし)

下記コラムにて、『古備前焼を鑑定する際の5つの価値感』について解説しました。

【 記事引用:導入記事を読んでない方はこちらから 】

古備前焼に限らず、古美術品や骨董品の鑑定では、単純に年数や古さだけを見ている訳でなく、希少性や傷の有無や市場での人気など、総合的なバランスを評価して価値を判断します。

傷だらけの壺や破れた書物が、とても高額な評価になるのは、そのような理由があったのですね。

ということで、古備前(骨董品)がどのような要件で評価されているかを知ることは、古美術の世界や品物を、より深く理解する上で、非常に役に立ちます。

古備前焼鑑定査定評価の要点とポイント

そのため、その『5つの価値(要件)』について、それぞれ一つずつ詳しく紹介したいと思います。

細口花入

4回目の今回は、『保存状態』についてです。

【 記事引用:1回目の記事(考古学的価値)を読んでない方はこちら 】

【 記事引用:2回目の記事(美術・芸術的価値)を読んでない方はこちら 】

【 記事引用:3回目の記事(希少性・希少価値)を読んでない方はこちら 】

「保存状態」とは、その古美術品の『瑕や破損』や『付属品の状態』を評価した時の価値になります。

オークションや美術品売買の現場では、「コンディションレポート」と呼ばれるレポートの記録で確認できます。

鑑定証明書見本

古美術品は、どんなものであれ、長年に渡って存在してきた「歴史」があります。

古備前焼の場合では、古備前は、一般的に「江戸時代よりも前」に作られた備前焼を表しますので、最低でも、150年程度の時を経ていることになります。

これが桃山時代や江戸時代初期の慶長期頃になると、実に400年以上もの歴史があるのです。

古備前花入 古伊部花入 掛け花入 掛け花生

そのため、その悠久の時間の中で、作品が傷ついたり、割れたりと、破損してしまうことも当然にあります。

むしろ、普通に考えれば、そのような傷ついた品でも、現在まで残っている事の方が珍しいケースなのですが、その中でも「美術品」「文化財」の鑑定・評価となりますと、やはり「無傷・完品」である程、評価が高くなりますので、どうしてもそのような作品ばかりが求められてしまう現状があります。

陶磁器の陶片や破片をみて、「もしこれが完品なら、数千万円~数億円にもなる」というような話を聞くことがあるかと思いますが、それほど「傷物と完品」とでは、価値や評価に差が出てしまうのです。

古伊部耳付花入 古備前耳付花入 古陶磁鑑定美術館 古備前窯印一覧 古備前窯印 古備前鑑定委員会 古備前鑑定委員会鑑定書 古備前焼の年代鑑定

例えば、古備前焼でも、傷やヒビが全くない完品であれば、数十万円から数百万円で売れるような品物でさえ、傷(ヒビや直し等)があるだけで数万円から数十万円ほどに下がってしまう程、傷は嫌気されます。

もちろん、茶碗や花入であれば、水が漏れてしまうような傷や破損は、致命傷と言えるレベルの瑕疵ですから、使用価値を考えれば、著しく価値が低くなってしまうのも納得できることでしょう。

しかし、古美術品を長年鑑定していると「無傷完品の古美術品は驚くほど少ない」ことが分かります。

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特に江戸時代の初期以前の作品は、乱世の戦国時代を経験していますので、完品どころか、伝来数自体が少なくなります。

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前回の「希少性・希少価値」のコラムでも触れましたが、完品の斑唐津のぐい吞みは今まで4点しか見付かっていないほど貴重です。国宝の窯変天目茶碗も、世界で3点しか確認されていません。

そのため、実際は、安土桃山時代よりも前の作品であれば、多少の傷は容認される傾向があるのです。

と言うよりも、その時代の完品を求めても、もはや「残っていない」のです。

古備前種壺 古備前壺 古備前波状文壺 古備前窯印壺

なので、「傷物の状態」が評価を左右するのは、江戸時代は寛永年間~元禄年間以降の作品、主に「仁清」や「遠州好み」や「上手風」の作風が、特に顕著である、と認識しておきましょう。

焼き物で言えば、江戸時代の作品は、絵付けや色絵など雅で優美な作風が好まれましたので、傷やヒビが評価に影響が出やすいと言えます。同様に、中国陶磁や朝鮮陶磁なども同じような状態の評価がされやすい傾向があります。

角徳利 保命酒徳利 古備前角徳利 備前角徳利 古備前保命酒徳利 古陶磁鑑定美術館 古備前焼の年代鑑定 古備前江戸末期 古備前江戸時代 古備前鑑定委員会

つまり、時代や作品ごとで、「傷もの」の評価軸が微妙に異なりますので、それらの違いに注意して、保存状態を把握する必要があるのです。

このように、古美術品の中には「保存状態」の違いによって、評価が大きく分かれてしまう物があります。

そのため、古美術品や骨董品を鑑定する際は、傷や直しなどの「保存状態」を見誤らないように評価、査定することが大事です。

それらの状態に気づかないまま、買い取り業者やリサイクルショップで品物を売買してしまうのは、とてももったいないことです。

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何年かに一度は、必ずと言っていいほど、数百万円から数千万円にもなるような素晴らしい古美術品が、ネットオークションなどに数万円程度の捨て値で流出してしまっているのが現状です。

反対に、程度のひどい傷物を、高値で購入してしまう失敗もあります。

そんなことをしてしまっては、せっかく長年引き継いだ「名品」が泣いてしまいますし、購入時は業者に不信感を持ってしまう事でしょう。

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そのため、お手持ちの古備前焼の鑑定は、ぜひ研究・調査の専門機関である古陶磁鑑定美術館にお任せください。

一件一件、プロが丁寧に、公正・公平な鑑定をさせていただきます。

また、古陶磁鑑定美術館のホームページでは、書籍「古備前焼の年代鑑定」の出版記念としまして、本物の安土桃山時代から江戸時代の古備前焼を特別に公開中です。

表紙(フチなし)

ぜひ、古陶磁鑑定美術館のコラムや展示会を、今後とも宜しくお願い致します。